「へー! 白鳥さんも一丁前に恋愛なんてしてなんだね! ビックリ!」

一丁前って……。きっとオブラートという言葉を知らないんだろうな。まぁ元はといえば会社のパソコンでこんなことを検索していた私がバカだったんだけど。

「三井さんには関係ないことですから」
「誰誰? 会社のやつ? 俺も知ってる人?」
「言いません」
「なんだよー、教えてよ白鳥さん!」

完全におもしろがってる。最低。もしうっかり口でも滑らせたものなら、あっという間に噂になって、社内中のいい笑いものにされるに決まってる。彼はちょっとおしゃべりで、軽薄なところがあるから、絶対に知られるわけにはいかない。

「私、銀行に行ってきます」
「わー逃げた! せめてヒントだけでも教えてよ!」

しつこい! と心の中で叫んで、聞こえていないふりをして逃げるように課を飛び出した。