とはいえ、なにからどう始めればいいのか。まずはそこからだった。臣が帰ってからずっと考えていたけど、全く思いつかない。

「卒業 意味とは って、なに調べてんの? 白鳥さん」

頭上から聞こえてきた声にハッとしながら顔を上げる。そこには首を傾げる三井さんがいて、慌てて背中で画面を隠した。

「やっ、あのこれは、その……」
「その慌てよう、なんだか訳ありって感じだねー」

必死な形相の私を見て、おかしそうに言う三井さん。まさか見られていたとは。しかもよりによって三井さんに。大失態だ。

「すみません、仕事中にこんな。すぐ消します」
「別にいいけどさ。で、白鳥さんはなにから卒業したいの?」

これ以上聞かないでと思っているのにも関わらず、三井さんはずかずかと踏み込んでくる。ほんと、この人苦手。先輩じゃなきゃ絶対無視してる。

「ちょっと色々ありまして……」
「あ、わかった。男だろ!」

いとも簡単に図星をつかれ思わずその場で飛び上がる。どうしてこういうときばかりこんなにも鋭いんだ。いつもダラダラと仕事しているのに。しかもうっかり狼狽えてしまった自分にも心底呆れる。