ずっとこのままの関係でいられるはずはないとはわかっていた。だけどこんなにも突然訪れるなんて思いもしなかった。

臣の彼女はこれまで何度も見てきたけど、奥さんとなると今までみたいにどうせまたすぐ別れるんだろう、という気軽な気持ちではいられないだろう。結婚なんてしたら、ショックすぎて立ち直れないかもしれない。

「……やっぱり私も臣の言うように婚活とかしてみようかな」

そうなる前に、臣から卒業しなきゃ。彼が結婚相手を見つける前に。

「お、なんだよ。急にやる気じゃん」

嬉しそうに微笑む臣にまたズキッと胸が軋むのを感じる。裸眼のぼやけた視界ですらそれが確認できてしまった。

「変な奴に捕まらないように、俺が指南してやるよ」

大きなお世話だということも知らず、張り切る臣を前に私はもう何も返す言葉が見つからなかった。臣が私から視線を外すまで、その場で黙って俯いていた。