「美麗は元は悪くないんだからちょっとイメチェンとかしてみたらどう?」

何を思ったのか、シュンと落ち込む私に手を伸ばしてきたかと思うと、不意にメガネをとった。

「ちょっと、何するの」
「ほら、目とか大きいし、すごい綺麗。隠してたらもったいねーよ」

突然至近距離で凝視され、しかも褒められたものだからボッと顔が熱くなる。きっと顔は真っ赤だ。だけどそんな私を気に留める様子もなく臣は続けた。

「髪型も少し変えるだけでかなり変わると思うけど」

肩のところで綺麗に切り揃えられた真っ黒な髪に触れる臣。緊張のあまり、体はまるで人形のように硬直していた。

だけど嬉しく思う反面、同時に虚しさが襲う。臣にとって、私は本当にただの幼馴染でしかないんだって改めて実感してしまったから。こんな風に躊躇なく触れてきたり、結婚の意思を尋ねてきたり。そんな当の本人は結婚相手を探しているなんて……。

もう、そろそろ潮時なのかも。この恋に、いい加減終止符を打たなければいけないのかもしれない。