Noside


時間は夜7時
部活に熱心な詩音は部員がたくさんいる合奏室ではなく、外の明かるい自販機の前で楽譜台を立てて並んでる音符を音にしていく

「しーちゃん風邪ひかないようにねー」
そう言って先輩は詩音にペットボトルの温かいコーヒーを渡して3年の校舎の外階段を登っていく
「はーい!ありがとうございます!!」
ペコッと頭下げる詩音にふふっと優しく笑う先輩

「あれ?詩音じゃん」
練習着でタッタッタッと向かってきた祐希は帽子を取りながら小銭を自販機に入れて缶コーヒーを買う
「ランニング?」
「そう!雨上がったから」
プシュっとプルタブを開けてごくごくと喉を鳴らしながらコーヒーを飲んでいく
「お、いたいた詩音、あ祐希もいる」
「んだよ啓太」
詩音と祐希のもう1人の幼馴染、
白石 啓太
詩音と同じで吹奏楽でパーカッションのパートを任されている
ドラムが上手でそういったコンクールでもいい成績を取ってくる
「祐希サボってねーで早く走ってこいよ。泥まみれになって帰ってこい」
ドラムのスティックで祐希の頬をグリグリと押す
「なんでこんなSなのに啓太モテんだよ、」
「ほざいてねーでさっさと行けよ戻ってきたらスポドリ奢ってやるから」
「行ってきます」

颯爽と、走りに向かう祐希を見送り、
啓太は詩音の頭を軽く叩いた
「少しはお前も休憩しろよ、」
「つーか、もう今日は部室閉めるからってよ。早く片せ」
「え!それを先に言ってよー!」