にわかに信じがたい声を耳にした。
……え、今の声って。
隠れていることも忘れて辺りを見渡すと、王子と私以外に人なんかいるはずもなくて。
別人の声だと思ったけど……まさか、王子の声?
「え……どうして」
王子の声にハッとする。
あ、そうだ私……隠れること忘れて、思いっきり飛び出しちゃったじゃん。
穏便に済ますためにも、お互い知らないフリが一番だ。
「私体育係だから先生のお手伝いしてたの」
「そうなんだ。手伝えることある?」
「もう終わったから大丈夫よ! ありがとうね」
咄嗟に出た嘘が通じて良かった。
そもそも体育係でもないんだけどね。
流石に王子様でも私の係何ぞや覚えてないだろう。
それにしても、今の声のトーンは普段の声だ。
やっぱり幻聴……いや、それは考えにくい。
私は精神病んでないし。