次の日、午後1時過ぎ。
託は市内の大きな図書館前でちらちらと時計を気にしていた。
あいつ、忘れたりしてねえよな。昨日、自分がメンバーたちのテスト日を忘れていたように、ひなつが自分との約束をすっぽかすんじゃないか。
託は、そんな不安を抱えながらも、ひなつが来るのを信じて待ち続けた。が、一向に来ない。空は曇って、雨が降りそうだ。嫌な気しかしないのは、なぜだろう。
ひなつは、その頃、困った人に捕まっていた。
「自由ッテナンデースカー?教エテクダサイ!」
「え、えっと…」
困ったぞ。私は今、この人から逃れたい。外人のふりして、私を騙して楽しんでるんじゃないのか?私は予定があるのに!ひなつは、頭を悩まし、一つの結論に至る。そうだ!
「お答えします。自由とは…」
「ハイ。」
息を吸う。成功するかどうかは分からない。一か八かの勝負になるだろう。よし、やる。
「あなたから解き放たれることです!」
そして走り出せば成功…。なのだが、
「オー!ついに、ミーの望む人が誕生しましたー!
おめでとーございますー!はい、お礼の水族館チケット。本日限り有効ですので、彼氏とでもどうぞ。」
手にチケットを渡される。受け取るひなつ。しかし、
めちゃ、日本語ペラペラじゃないか!騙したな!
腹が立ったので、ひなつはチケットをもらったお礼も言わずに「さようなら!」と、去って行く。
もう、一体あの人なんだったの?運命の人を探してるわけじゃなかったみたいだから良かったけど。
ひなつは、電車を乗り継ぎ、急いで託の待つ市立図書館へと向かう。外はもう、小雨が降り出していた。
図書館前に、託の姿を見て、思わず「ソーリー!(ごめん)」と、言ってしまって気がつく。託は一人ではなかった。歌純と一緒にいたのだ。
「あ、やっと来た。」
歌純の冷たい声が聞こえる。託も少し不機嫌そう。
「約束したのに、待たせるなんて礼儀がなってないよ。ダメじゃない。」
今日の歌純は、なんだかお母さんみたい。ひなつは、ぼんやりと思う。今日ってテストの日だっけ?
「歌純ちゃん、テストは終わったの?」
「私が途中で抜けだす、ワルに見える?」
「…終わったということ?」
そうだけど、と歌純。
今日の歌純はやけに冷たさが目立つ。寒色の青のワンピとは、きっと無関係なはず。
「津田、なんで遅れたの?」
「え?別に時間指定はなかったでしょ?」
託の質問になんだか違和感を感じたひなつ。
その言葉に、慌てて歌純が返答する。
「あ、それはね、私の入力ミス。『2時までに』ってメールするの忘れちゃったの。…でも、普通急ぐものでしょ?せっかく誘われたのに。」
そんなこと言われても、ひなつは言い訳する気にもならなかった。そんなことをしても意味が無い気がしたのだ。
託は市内の大きな図書館前でちらちらと時計を気にしていた。
あいつ、忘れたりしてねえよな。昨日、自分がメンバーたちのテスト日を忘れていたように、ひなつが自分との約束をすっぽかすんじゃないか。
託は、そんな不安を抱えながらも、ひなつが来るのを信じて待ち続けた。が、一向に来ない。空は曇って、雨が降りそうだ。嫌な気しかしないのは、なぜだろう。
ひなつは、その頃、困った人に捕まっていた。
「自由ッテナンデースカー?教エテクダサイ!」
「え、えっと…」
困ったぞ。私は今、この人から逃れたい。外人のふりして、私を騙して楽しんでるんじゃないのか?私は予定があるのに!ひなつは、頭を悩まし、一つの結論に至る。そうだ!
「お答えします。自由とは…」
「ハイ。」
息を吸う。成功するかどうかは分からない。一か八かの勝負になるだろう。よし、やる。
「あなたから解き放たれることです!」
そして走り出せば成功…。なのだが、
「オー!ついに、ミーの望む人が誕生しましたー!
おめでとーございますー!はい、お礼の水族館チケット。本日限り有効ですので、彼氏とでもどうぞ。」
手にチケットを渡される。受け取るひなつ。しかし、
めちゃ、日本語ペラペラじゃないか!騙したな!
腹が立ったので、ひなつはチケットをもらったお礼も言わずに「さようなら!」と、去って行く。
もう、一体あの人なんだったの?運命の人を探してるわけじゃなかったみたいだから良かったけど。
ひなつは、電車を乗り継ぎ、急いで託の待つ市立図書館へと向かう。外はもう、小雨が降り出していた。
図書館前に、託の姿を見て、思わず「ソーリー!(ごめん)」と、言ってしまって気がつく。託は一人ではなかった。歌純と一緒にいたのだ。
「あ、やっと来た。」
歌純の冷たい声が聞こえる。託も少し不機嫌そう。
「約束したのに、待たせるなんて礼儀がなってないよ。ダメじゃない。」
今日の歌純は、なんだかお母さんみたい。ひなつは、ぼんやりと思う。今日ってテストの日だっけ?
「歌純ちゃん、テストは終わったの?」
「私が途中で抜けだす、ワルに見える?」
「…終わったということ?」
そうだけど、と歌純。
今日の歌純はやけに冷たさが目立つ。寒色の青のワンピとは、きっと無関係なはず。
「津田、なんで遅れたの?」
「え?別に時間指定はなかったでしょ?」
託の質問になんだか違和感を感じたひなつ。
その言葉に、慌てて歌純が返答する。
「あ、それはね、私の入力ミス。『2時までに』ってメールするの忘れちゃったの。…でも、普通急ぐものでしょ?せっかく誘われたのに。」
そんなこと言われても、ひなつは言い訳する気にもならなかった。そんなことをしても意味が無い気がしたのだ。