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集中治療室から霊安室に移動し、警察官や検察官など沢山の人間が訪ねてきた。
それを何の感情も籠らない瞳で静観する。
訳も分からないまま葬儀が執り行われ、兄は火葬。その後数日が過ぎても、親父もお袋もまるで魂が抜けたように生活していた。
「(…………、)」
俺に関して言えば、兄貴との衝突が解消されたのはつい最近のことで。
"―――なんでお前はそんなに出来が悪いんだ"
"俺に関わるな。こっちまで荒んだ眼で見られる"
"跡取りじゃない次男は気楽なものだな"
"―――……宏也、今まで悪かった"
実を言うと、俺が族に入ることに決めたのは昔から変わらない兄貴による圧力が大きかった。
それに嫌気が差して、耐え兼ねて、どこかに逃げ出したくて。
「なんで逝っちまうんだよ、馬鹿野郎」
兄貴と同じ大学に入学したのは、少しでも認めてもらいたかったから。
幾ら憎い相手でも心の奥底では憧れの存在だった。
本当に最近だった。やっと和解出来て、少しでも兄貴の役に立てるような存在になれたら。
そう思って俺なりに真面目に大学で勉強していた矢先に、こんなことになっちまうなんて。