しばらく沈黙だった(らしい)
空気をやぶったのは凛だった。



「何?」


「いち…」


「おおーーーーー…い!!!!!」



凛の言葉があいつの声でさえぎられた。




まったく、この声はいつ聞いても間抜けなんだから!




そのどうも間抜けな声の持ち主は
私たちをめがけて走ってくる。


その正体は…




「おおーーーーーーい!!!!
 よかったー!
 今日は追いつけたぞ!!!」

「おまえなぁ…
 新学期くらい最初から合流しろよな」

「翔が言えるようなことじゃないでしょ。」

「…凛、最近言葉がとがってきてね?
 俺限定で。」

「すごく気のせいだよ。
 だって事実だし。」

「俺はこいつほど寝坊してねーし。」

「でも寝坊は寝坊でしょ?」

「寝坊のレベルが違うだろ。」

「どうせ0.5ぐらいの差でしょ。」

「おまっ…1レベと1.5レベの差を
 なめんなよ!!」

「どっちにしろ、二人とも
 寝坊は寝坊なんだから。
 五十歩百歩だよ。」

「…おまえほんとにおっとりキャラか?
 つーかまじで3年生?」

「うん、正真正銘の3年生だけど?」

「俺らをだましてるんじゃねーの?」

「もしそうならだまされてる翔は
 間抜けってことだよねー。」

「んなぁ!!!」





「…あーあ。また始まったよ。
 こりゃ長く続くな。」

「っていうかみんな、俺の紹介は…?」



余談だけど
凛ってば普段は
ねじが一本ゆるんでるんじゃないか並に
おっとりしてるけど
なんだか知らないけど翔と話始めると
冷静な言い争いがおこるっていうか…
どうも小学生らしくなくなるっていうか…
凛が凛じゃなくなるっていうか…

翔が嫌いとか
そういうのじゃないんだけどなぁ…

まぁ、
けんかするほど仲いい
って言うし
もう9年もこの調子だから
別にいいんだけどねー。