「満はね、小学生の頃からずっとバスケをしてたの。私、満に遊んで欲しくて、覚えたのよ? 満はね、私の事好きだよって抱きしめて、キスしてくれたの。 なんで……替りなんて……出来ると思うの……?」

 友香さんの瞳から、静かに涙が流れ落ちていく。

「それは……友香さんを……」

「私は誰にも満のかわりなんて頼んでない!!」

 悲鳴の様な声が、人気のない校舎に響き渡る。

「……私は、満が好きなの。大好きなの。だから、満を殺した湊が、好きな子と一緒に笑って居るなんて許せないの」

 私の間近に、瞬きせずに、笑いもしない双眸がある。

「一生許さないの。満はこれからもずぅっと私の傍に居るの。どこにも行かせない。私の満を殺しておいて、今更、私を捨てて自分は好きな子と付き合いたいなんておかしいでしょ? 」

「友香。もうやめろ。とわは……関係ない。後はもう、俺が聞くから」

 桜庭くんが、泣きそうな顔をしていた。

 私じゃないんだ。友香さんは、私に聞かせてるんじゃない。桜庭くんに……聞かせているんだ。

 私を捕まえて、桜庭くんを逃げられないようにして。桜庭くんを縛り付ける、呪いをかけているんだ。

 呪いの儀式みたいに。