ただ、今までもいい機能が追加されても散々「スマホにはしません」を貫いて来たのだから、ちょっとやそっとじゃ変えるとは言いづらい。

 それに今は携帯をスマホに変えるだなんて贅沢なこと……。

「次こそは相川さんに絶賛してもらえる機能を開発するからね!」

「はい。頑張ってください。」

 人懐っこい笑顔で言われて、澪もつられて微笑みを向ける。

 原田は年も近いせいか話しやすい。
 彼の仕事は主に開発をしているプログラマーだ。

 原田の宣言に、近くにいた森本が待ったをかける。

 原田の近くにというより、姉御肌の森本は可愛がっている澪の側にいつもいて谷と同じように澪を助けていた。

 今回は助けたというよりも、原田への対抗心のようだけれど。
 澪の体に腕を回し、原田から距離を取るように引き寄せられた。

「相川さんを落とすのは私なんだから。」

 森本さんが男性なら簡単に落ちてます。
 恋に。
 
 そんなことを思い浮かべながら森本さんの胸の中に甘んじて体を預ける。
 女性らしい柔らかなぬくもりと、程よく甘い香りに同性なのにドキドキする。