澪は自分の大切な役割に有り難いと思いつつも、今日は一番奥の席を陣取る谷に見つめられたくなかった。

 極力そちらを見ないようにして原田に誠心誠意思ったことを口にする。

「素晴らしい機能だと思います。
 目に見えると実感も湧いて効果がより分かると思うので。」

「じゃ、変えたくなった?スマホに!」

 前のめりになって聞かれると次の言葉を詰まらせた。

「こら。原田。
 プレッシャー与えるの禁止。
 相川さんはこの機能じゃ使いたくならないよ。
 本人にダイエットの必要がないんだから。
 ね、相川さん。」

 いつも助け船を出してくれるのは谷だ。
 それを今日はどうしてか口惜しく感じながらも優しく先を促されて小さく頷いた。

「はい。すみません。
 私は使わないと思うので……。
 でもダイエットを頑張っている方にはとてもいい機能だと思います。」

「そっか〜。そうだよなぁ。」

 がっくりと肩を落とす原田に申し訳なく思う。