「そうみたいです」

「そうみたいですって、2度もその女に男を取られて悔しくてないの?」

「悔しいです…でも仕方ないじゃないですか⁈元彼のことはもうどうでもいいですけど、婚約者ですよ。私にどうすれっていうんですか?彼のセフレから愛人ですか?」

「そんなこと言ってないわ。このまま引き下がったら、後悔するわよ。好きなんでしょ…好きなら諦めるな」

…詩織さんの真剣さに、諦めずに頑張ってみようという気持ちが湧いてくる。

「なにもしないうちから諦めてたらダメですね。選んでもらえるように頑張ります」

突然、人が現れ、その人物に声が裏返る。

「と、透さん、どうしてここにいるんですか?」

「ごめんね」

悪びれもせずにぺろっと舌を出した詩織さん。

「メール一つで終わりにして、俺から逃げるなんて、俺が許すと思うのか?…詩織に諦めるなんて言ってたら、体に教えこんでやるつもりだったけど、諦めないで頑張るんだよな…俺に好きだって言わせてみろよ」

「…言わせれたら、彼女にしてくれるんですか?」

「彼女どころか嫁にしてやるよ」

「絶対、言わせますからね」

「頑張れば…その前にお仕置きが必要だよな」

愛梨は連れてくぞと言うなり、透さんに腕を掴まれてお店を出る羽目になった。

そして、彼の部屋で声が枯れるまで好きだと言わされ続けたのだった。