「皇室の方の手紙は昨日処分した。
お父様はまだ認めていない事が一つ心残りだけど、でも、それも時間が解決してくれる。

あの日、目に涙をいっぱい溜めて、おじい様、私が本当に愛する人と結婚できる事を祈っててくださいねって言っていた、幼い咲子を思い出して胸が熱くなるよ。

映司君、咲子を見つけてくれて本当にありがとう…
私は、これで、肩の荷が下りた。
この幸せな方の手紙を咲子に渡せたからね」


孝一はそう言いながら、咲子に真っ白いハンカチを渡した。


「あと、15分くらいで、神社の人間が呼びに来るから。
今日は最高にいい天気だぞ」


孝一はそう微笑んで、部屋から出て行った。


「咲子ちゃん、その手紙は?」


咲子は目を細めて映司を見る。


「あの頃、“手紙”っていう歌が流行っていて、私も大人になった自分へ宛てて手紙を書いたの。

この手紙は開けて読まなくても、何を書いているか全部覚えている。

おめでとう、良かったね、よく、頑張ったねって。
あと、自分の想像した未来の旦那様のあれこれも書いてある。
それを映司さんに見せるべきか、ちょっと考え中。
映司さんが凹むのは嫌だから」


咲子は本当に幸せそうだ。