「咲子ちゃん、急な結婚式でバタバタして、新婚旅行の話とか全然できなかったけど、実は、もう、俺が勝手に予約を入れた」


咲子は目をパチパチさせて映司を見ている。


「イタリアの小さなお城を貸し切った。
そこで、二人きりの結婚式を挙げよう。
咲子ちゃんが夢にまで見た西洋の童話に出てくる結婚式を再現するんだ。

大好きなフリルのドレスを着て、たくさん写真を撮ろう」


咲子は胸がいっぱいで何も言葉が思いつかない。
でも、そんな風に、咲子の夢を覚えていてくれた映司が素敵過ぎて、咲子は映司の首元に抱きついた。


「本当… なの?」


「本当だよ。
今日を乗り切って、そして、二日後には出発する。
今度は俺が育った街を紹介したい。
まだ、おばあちゃんも元気だから、早く咲子ちゃんを会わせたいんだ」


咲子は真っ白なお化粧をしているのに、涙がポロポロあふれ出す。


「本当に私の夢を叶えてくれるの?」