「そうだよ、そうしてもらわないと困るよ。
だって、俺達全員が、映司の親族として神前式の新郎側に座る事になってるんだから。
さっき、ここの神主さんからお神酒を盃でいただく儀式のやり方を教わったのに、それ以前に、お酒を吹き出すところだったよ」


映司はまた違う意味で絶句した。


「え? このメンバー全員が参列するのか…?」


トオルは面白そうに頷いた。


「新郎の親族の席には、映司のマミーを先頭に俺達がずらりと並ぶから楽しみにしといて。
お前が七五三のプロレスラーみたいでも、頑張って笑わないから安心して」


トオルはそう言っている先にもう笑っている。
映司が憮然としていると、七条家のお手伝いさんが映司を呼びにきた。


「あ、トオル、そのマミーをちゃんと見張っててくれよ。
日本の伝統とか、何も知らない人だから」


他にもお願いしたい事は山ほどあるが母親の顔をまだ見ていないせいか、映司はとにかくそれが一番の気がかりだった。


「映司、心配するな。
優秀有能な明智君がちゃんとレクチャーしてるから。
マミーはもう明智君にメロメロだよ」


映司はたくさんの疑問や不安を抱えながら、その皆が居る場所を後にした。
もう、今のこの状況では、ただ黙って受け入れるしかない。

でも、よりによって全員集合とは、今日の良き日は俺にとっては最低最悪の日に変わった。