「ソフィア、凪はやっぱりやめた方がいいと思う。
だって、七条家の面々は錚々たる人達ばかりだから、凪のあのグレーの髪にみんな唖然とすると思うよ」


すると、ソフィアの目が楽しそうにきらりと光った。


「映司、実は、あの凪が今は黒髪なのよ。
舞衣に騙されて黒髪に染めて、本人はまたすぐにグレーに戻したいみたいなんだけど、舞衣がその髪型を気に入ってね。

あなたと一緒よ。
凪は舞衣のために、今は黒髪にしてるの。
だから、心配ご無用。
凪は最高にいい男になってるから。

ま、中身はあのまんまだけど」


映司は何も言い返せない自分が悲しかった。
咲子の事を思って、本当は誰も呼びたくない結婚式に誰かを呼ぼうと妥協した自分がいる。

凪があのグレーの髪を黒に染めた?
昔の俺ならアメージング!って笑ったに違いない。
でも、今の俺は、凪の気持ちがよく分かる。
恋に溺れてしまった男は、果てしなく愚かだって事を…