「いっ、たい……」


倒れこんだ拍子に、どこかをぶつけたらしい。


「あ、ごめん!あの、大丈夫?怪我とかない?」


私の腕を掴んだのは、私とあまり背が変わらない男子生徒だった。今は、心配そうにこちらを向いている。


「……平気です。」


私が俯いたまま答えると、その男子はホッとしたのか、ゴロリと寝っ転がった。


「よかった!びっくりしたんだよねー、突然飛び降りようとしてたから。」


髪は茶髪。童顔。同じ一年生だろうか。
制服も大分着崩していて、私の苦手なタイプだと、直感的に思った。


「見てたんですか。」


「あー、うん。ちょっと寝てたら夕方になってて、そんであんたが屋上の淵に立ってたからびっくりしてさ。助けちゃった。」


気まずそうに笑った。私がしようとしていたことは、分かっていたらしい。