「そんなに怖がらないでよー。
俺、こう見えて優しいんだよ。」

犬みたいに人懐っこそうな顔をしたイケメン。

ズカズカと1年の教室に入ってくる彼に、
私は警戒心満載。

「ねぇ、名前なんていうの?」

「葉菜ちゃん、どうしよう」

震えた声で私に助けを求める雛里ちゃん。

よ、よし、こうなったら!

「あ、あの!
急にそんなこと言われてもこの子も困ります!」

言っちゃったよ。

どうしよう。

「え、君には何も聞いてないんだけど。
俺、可愛くない子とは話したくない。」

そうですか。

「ねぇ、メアド教えてよ!」

私には聞く耳持たないらしい。

けど、雛里ちゃん困ってるし。

そこで間に入ってきた人がいた。

「おい、隼人。
いちいち女にかまってんじゃねぇよ。
行くぞ。」

そう言って、厄介者の腕を掴んで廊下へ出て行った。