『話がしたい。』



初めてアイツに電話した。



カエデを連れて理事長室にこいとのことだった。



『巻き込んでごめん。』



理事長室の前で後ろを歩く楓に謝る。



「昨日から謝ってばっか。
とりあえず今のことに集中してよ。」



あぁ、そうだな。と返事する変わりに理事長室のドアノブを強く掴む。



『・・・失礼します。』



「やあ、待っていたよ。
こちらへどうぞ。」



他人行儀な態度。
薄っぺらい笑顔。



あぁ俺にそっくり。




『なんで、俺の子といらないって言ったんだ。
なんで家に帰ってこなかった?俺に会いたくなかったから?
母さんのことはどう思ってたんだよ!
俺と一緒でいらないって思ってた?』



指示されたところには行かなかった。



「とりあえず座ってください。」



『ここで結構。
いいから早く答えろよ。』



「那智、落ち着いて。」