ノックなしに入ってきたのは声からして男性。



俺とリン、カエデはドアに背を向ける形で置かれているソファーに座っているから姿は見えない。でも、目の前に座っていた2人が、コーキでさえがさっと立ったからつられて立ち上がって振り返った。



『っ、俺帰るわ。』



「え?ちょっと」



「理事長に対して挨拶もなしにその態度とは・・・
これが、特待生でしかもトップとは恥ずかしいですね。」



『うっせーよ。離せ。』



腕を強い力で捕まれ振りほどこうとしても解けない。



「まだそんな格好して、いつまでも死んだ人間に縋ってるなんて信じがたい話です。」



「那智が子供・・・・」



「あぁ申し訳ございません。
理事長の美都です。どうぞお座りになってください。
ほら、貴女もお座りなさい。」



『うるせーよ。なにが子供だ。
俺はお前のこと親だと思ったことねーよ。』