無言で歩き続ける。

しかし、その沈黙を破ったのは、彼女だった。

「あ…あの……伊原 大河さん、ですよ…ね?」

…え?
僕、この子知らない子だけど…

「なんで……?」
「あっ、あ…あの、転校生が来たって私のクラスでも噂?みたいなのになって……」
「あ…あぁ〜、なるほど」
「は…はい」

ふっと横を見ると、彼女は凄い綺麗な横顔だった。
肩を少し超えた髪の毛をふたつくくりにしている。

あ…この子の…名前…は…?

「あ…わ、私は森田 奏(もりた かな)です。」

僕はそんな顔をして彼女を見ていたのだろうか。
恥ずかしくなり、少し顔が熱くなる。