「大河、ここだ。ここがこれから住む家だぞ」

お父さんが言う。

おぉ〜
前よりも良い家じゃん!
広い‼

「荷物のトラックがあとちょっとで来るから、手伝ってね」

更にお母さんも言う。

「分かってるよ。大丈夫。」
「ごめんね…高校の途中に転校なんて…」
「しょうがないよ。転勤なんだし。それに、もしかしたらこっちの方がすっごい友達が作れるかもしれないし」

こんなこと、両親に心配かけたくないから言ってるけど、ホントは幼馴染の由夏(ゆか)と離れるのは嫌だった。

でも、やっぱりしょうがない。

「ごめんね…」
「だから良いって。僕、自分の部屋の所、見に行ってみる」

“ごめん”と言われるたび悲しさが胸から出てくるようで、僕はその場を急いで離れた。