そんなハルの行動に、母は文句も言わずに、新聞に挟まれていた広告を見出した。
何で、文句を言わないのか。母親の寛容すぎる行為が、時々ハルに居心地の悪さを感じさせる。真綿で首をしめられるような、このままずるずると、あり地獄のように、母親の庇護欲に流されそうで、そんな中で、こんな形でしか反発できない自分に、ハルはますます惨めさを感じるのだ。
取り上げた新聞を見ても、ハルがひいきにしている球団は、結果が隅っこにのっているだけで、メジャーな球団のピッチャーが大きく取り上げられていた。
ハルは、新聞も見る気がしなくなって、コーヒーに手を伸ばした。