「幼稚園の窓ガラスが、何者かに割られた。
今、警察が調べてる。
俺と航で、子供の荷物と名簿を取ってきて
子供を帰らせる。」

先生の話は、テレビドラマのような内容だった。

一瞬呆けてしまったものの

先生に促され、直ぐに行動に移した。

子供たちや先生に、必要以上の不安を与えないように

淡々と事を進める。

とは言っても

幼稚園に足を踏み入れると

警察官が門前に立ち、テレビドラマのように

指紋採取や規制線が張られていた。

足がガクガクする。

「航、自分の仕事をしろ。」

悠人先生の声にハッとして、自分のすることに神経を集中する。

全員の荷物を用意して、名簿を持つと

みんなの待つ体育館に戻った。

子供たちを帰す話し合いをすると

悠人先生は、唯ちゃんだけを残して二人で話し合いをしていた。

たぶん、不安そうな唯ちゃんを安心させる声をかけるのだろう。

今日初めて、付き合いを公表してる二人を羨ましいと思った。

みぃも、かなり不安なはずだけど

声をかける訳にいかない。

名簿を握る手が震えていたのに…………。

仕方なくメールをした。

「大丈夫。」

慌ただしい中で長文を打つわけにもいかず、伝わるか不安だった。

直ぐに返ってきたメールは

『うん。』

ヨシッ!

落ち着いたみぃに安堵した。