『帰る。』という彼女を連れて

僕の家に連れ帰った。

彼女のいう帰るは、自分の家のことだろうけど。

「上がって。」

口数の少ない僕の顔色を伺いながらついてくる。

ホントは、初めての彼氏の部屋にドキドキして欲しいところだけど……

今、彼女のドキドキは

『どう言い訳したらいいだろう?』ということばかりのはずだ。

アルコールの匂いがしないところをみると

今日もノンアルだったことが、せめてもの救いだ。

「そこに座って。」

ソファーを指したのに、彼女が座ったのは

直ぐ下のカーペット。

それも、正座。

あまりの可愛いさに、笑いが起こり

怒るふりはそこまでだった。

「みぃ、怒ってないからこっちにおいで。」

笑顔の僕に安心したのか、すごすごソファーに上がってきた。

「……………………航、ごめんなさい。」