商店街にある、洋介さんのパン屋さん。

そこで待っていると

「洋ちゃん、ただいま!」と

今朝とは全く違う彩先生が、現れた。

悠人先生いわく、最近二人は付き合い始めたらしくて

幼稚園ではお目にかかれない彩先生を見ることが出来た。

「プッ!」

吹き出す僕に

僕の存在を思い出した彩先生は、気まずそうにこっちを見る。

ヨッシ!

これで少しは、彩先生の怖さが和らぐかな?

「彩、航君と約束してたんだろう?
ただいまの前に『遅くなってごめんなさい。』って言わないと。
結構、長い時間待ってくれたよ。」

優しい彼氏に言われて仕方なく………

「………………遅くなってごめんなさい。」と

棒読みで言ってくれた。

彩先生でも、彼氏の前だとこんなに可愛いくなるんだ。

驚く僕を無視して

「はい、良くできました。」と

洋介さんは彩先生の頭を撫でている。

幼稚園の先生より、先生みたいな人だなぁ。

クスクス笑う僕を

バカにしたと誤解した先生は、再び機嫌が悪くなった。

うわぁ!ヤバッ。

マズイと感じた僕は、思わず助けを求めて………

「洋介さん、もうお仕事終わりました??
お店を閉めるなら、お手伝いしますから…………
一緒にどうですか??
彩先生も、その方が嬉しいですよね??」

驚いた先生達を見ながら、必死に誘ってみると

「えっ?でも………今日は航君の悩みがあるんじゃ?
俺がいない方が、話しやすいでしょう?」と。

いえいえ、僕に相談なんて………一つもありません。

脅されて、飲みに行かされたんですよ!

貴方の彼女に!

「出来たら洋介さんの意見も聞きたいなぁって。
仕事じゃなくて、恋愛なんで。
男の人の意見も聞けたら嬉しいなぁって。」

「そうなんだ。
だったら、海晴ちゃんも呼ぶ?
彩より海晴ちゃんの方が、色々アドバイスくれるんじゃないのかなぁ?
悠人や唯ちゃんも………………」

「あっ、嫌…………それは…………………」