「ねぇ、みぃ…………。
何に怒ったの?」

「……………………怒ってない………………。」

怒ってないって言われても…………。

「だったら、どうして出ていったの?」

「………………………………………………。」

「黙っていたら、分からないんだけど。」

ぽろぽろ涙が溢れる。

「ちょっと……………何??
あっ!怒ったって思った??
違う違う!怒ってないから、泣かないで。」

僕が好きだと言ってから…………

泣いてばかりの彼女。

春からの付き合いだけど…………

涙を溢す姿を、これまで見たことはなかった。

幸せにしたいと思って告白したのに…………泣かせてばかりだ。

もう理由なんてどうでもいいから………

とにかく笑顔にしたいと思っていたら。

「彩に電話してた。
………………私を寝かせて………………。」

えっ??

「もう嫌だ。
いつもの自分に戻りたい。
……………別に、彩にヤキモチなんて妬いてない。
仕事の話しをしてたって知ってる。
でも………………。
私がいるのに……どうして彩?って。
グズグズ言うから………めんどくさくなった?って…………。
グルグル考える自分が嫌い!
穏やかに過ごしたい。
………………………疲れた。」

彼女はホントに恋愛下手だ。

もしかしたら、人付き合いが苦手なのかもしれない。

唯ちゃんと違って

ハッキリ、しっかりしてるから………

他の人は気づかないかもしれないけど…………

少し親密になると分かってしまう。

彼女は…………大切なものを大切にする方法を知らないんだ。

友達も仕事も、一生懸命大切にしてムリしてるから………

もう、いっぱいいっぱいなんだろう。

僕を受け入れて、大切にするゆとりがないんだ。

「……………………別れよっか?」

自然と出ていた。