「みぃ!…………みぃちゃん。」

滑り台に近づき、覗き込むと

滑り台の筒の中で、足を折って体操座りするみぃの姿が……

膝に顔を埋め泣いている。

「…………………………みぃちゃん。」

この間自分で

『ネコみたい』と言って怒っていたけど。

まさに捨てネコだ。

逃げられないようにそっと近づき、隣に腰を下ろした。

上衣も羽織らず出てきたみぃに

僕が着ていたパーカーを掛けようと腕を伸ばすと

ビクリとすくんで、もっと小さくなった。

「風邪をぶり返すといけないから………袖を通して。」

そっと羽織らせるも………イヤイヤと首を振る。

「ここは寒いから、帰ろう。」

肩を掴んで立たせようとしても、身を捩って言うことを聞いてくれない。

園児なら、抱き上げて連れて帰るんだけどなぁ。

「みぃ、帰ろう。」

「嫌。」

「僕と居るのが嫌なら、僕は帰るから。
温かい部屋でゆっくり休んで………。
ぶり返したら、僕が彩先生に絞められるから………ねっ!」

さっき電話を切るときに

飛び出したみぃを呼び止めて、『みぃ!』と叫んだ。

絶対に彩先生は、気づいてるよなぁ。

明後日からの仕事を想像して身震いしていたら。