『お腹すいた。
今日は食べて帰ろう!』

食べて…………帰ろう。

帰ろうって思ってくれるんだ!

誘われた以上に嬉しくなる。

いつもの居酒屋に行くと

「遅い~」と、サワー片手に微笑む彼女。

「ごめんね。
夏苗先生が、駅前を歩いてたから
見つからないように遠回りした。」

まだバレたくないであろう彼女。

僕も、もう少し騒がれずにゆっくりしたい。

それに……………

先ずは1年後のことを話さないと。

悠人先生に、先生が園長の甥で次期園長になることを

彼女に伝える許可はもらった。

保育園の園長候補だとも話して良いと言われてる。

ただし、唯ちゃんに話しが行かないよう

十分に口止めするように念を押されたけど。

もちろん、海晴先生が唯ちゃんにしゃべるなんて

悠人先生だって思ってない。

ただ、念には念に!と…………

ここまでこぎ着けた結婚を………

不安にさせて、逃げだ出されては困るのだ。

相変わらず、唯ちゃんのことになると可愛い人だよな。

尊敬する上司を思い出して笑うと

「何か良いことがあった?」と。

「うん。
みぃが一緒に帰ろうって誘ってくれたから。
帰ろうって……思ってくれたのが、スッゴく嬉しい。」

「バッ!………別に………そんなつもりじゃ…………
ただ、なんとなく……………」

「それでも嬉しかった。」

「もう!いいから、飲むよ!」

照れ屋な彼女のグラスに、ビールを合わせて乾杯をした。