そのまま幼稚園を出て駅まで一緒に歩き

いつもの居酒屋に向かおうとした彼女に………

風邪が万全でないのに、飲んで体調を崩し

『来週も休んだら子供たちに申し訳ない。』と説得する。

スーパーで買い出しをして、彼女の家に上がることに成功した僕は

もう何度目になるか分からない、キッチンに立っている。

久しぶりにオムライスが食べたいという彼女のリクエストに応えて

ハートのケチャップのオムライスと温野菜のサラダ

インスタントのコーンスープにした。

ご飯が出来る間にシャワーを浴びてきたら良いと言ったけど……

前回の失敗を警戒して「いい!」と

頑なに拒否された。

結局することが見つからないみたいで

調理する横をうろうろしたり、ソファーに行ったりと

落ち着かなく過ごしていた。

ホントに普段は自炊をしないんだろうな。

手もちぶたさの彼女がおかしくて

「もう少しで出来るから、お皿を用意してもらっていいですか?」と

声をかけてみた。

「あっ、そうか!」

やることが見つかると、嬉しそうに動き始める。

「航って、ホントに料理上手だよね?
唯ちゃんや彩程ではないかもしれないけど………
それ以外のメンバーには余裕で勝てるよ!
アズは、料理出来るけど……肉や魚が触れないし
夏苗なんて、ああ見えて超お嬢様だから
包丁を握ったこともないって言ってた。
今は彩に怒られて、ざく切りくらいは出来るけどね。
普段はみんなで食べるし、コンビニやお店もいっぱいあるから
私も切るか焼くか温めるくらいしかしてないもん。
航に『作ってあげる』なんて大口叩いた自分が恥ずかしいよ。」

「でも、僕は嬉しかったですよ。
僕の体を心配して言ってくれたんだって。」

「そう、それ!!
悠人先生や洋ちゃんもそうだけど…………
その甘い言葉はどうにかならない??
素直なのは良いことだけど、恥ずかしくて耐えられない。
私はそんなに素直に話せない………………。」