2階に運ぶと

「航君、ちょっとお話しに付き合ってくれる?」と

唯ちゃんに誘われた。

てっきり海晴先生の事だと思ったのに

唯ちゃんの相談の内容は………咲だった。

悠人先生の事で…………

彩先生は、同期や先生のフォローがあるけれど

咲の同期は僕しかいない。

四人には怒られたし

幼稚園で態度に出したから、何となくみんな遠巻きで………

笑ってるのに、心からじゃないのが見ていて辛いらしい。

唯ちゃんが励ますのも、何だか違う気がするから……

僕に助けて欲しいと…………。

う~ん…………。

唯ちゃんの言いたい事は、分かるんだけど…………

僕も今、微妙なんだよなぁ。

確かに、咲の事は同期だし心配だけど………

それ以上に、海晴先生の事が心配でいっぱいなんだよ。

とは言っても……………

この幼稚園で、今咲に声が掛けられるのは僕だけなんだよな。

ふぅ~っ。

仕方ないかぁ。

「分かった、咲が元気になるかは分からないけど………
やるだけやってみるね。」

僕の答えに心底ホッとした表情の唯ちゃん。

「ありがとう、航君。
今度美味しいご飯作るから、食べに来てね。」

この時、後ろでパタパタと走り去る足音を聞いていたら………

後悔先に立たず。