「藤井さん」


青木くんの声がぼんやりと聞こえる。

嫌だ。絶対に見られたくない。

泣きたくない。


ぎゅっと目を瞑る。


「芽依」


「…っ」


急に名前で呼ばれて、毛布をゆっくりと外される。

驚いて青木くんを見れば彼は微笑みながらもう一度名前を呼ぶ。


「芽依…」


あー、もう。心臓バクバクだ。


これは違う意味で呼ばれない方が良かったかもしれない、なんて思った。


だって、ドキドキが半端じゃない。


そっと頭を撫でられて、青木くんはあたしの方をじっと見つめる。