「どうした?」
優しい表情でそう言われて、微かに瞳が潤んだ。
青木くんのこの瞳を見てるだけで、心の中まで覗かれそうな感覚になる。
「…ほんとは、行って欲しくなかったよ」
「え?」
「青木くんと仲がいい先輩に、あたし勝手にヤキモチ妬いて…昨日だって本当は行って欲しくなかったのに…バカだあたし」
「……」
何言ってんだろ、あたし。
普段なら絶対に言わないのに、きっとこれも、熱のせいだ。
「あたしも青木くんに名前で呼んで欲しいよ…」
こんな弱った自分が情けなくて、泣きそうな自分を見られたくなくて、毛布で顔を隠す。
こんなの絶対面倒くさいって思われた。
自分で言い出しといて行くなって、ほんとに面倒くさい女じゃん。