俺は何で泣いていたか説明する。
「なんだぁ!そんなことで泣いていたの?」 
芹沢は笑いながら言う。
悪かったな。
「いやー男子がなくとかさ、想像出来ないじゃん。だから泣いてて何事かと思ったらそんなことで泣いていたの。」
ださーいとでも言っているように芹沢はまだ笑っている。
笑いすぎだぞ。
「俺は真剣に悩んでんだから」
「えっとね、まず勉強の仕方が悪いんじゃない?あと勉強時間もっと増やしなさい」
「その勉強の仕方を教えて欲しいんだが。あと全然分からないからどうやってといてけばいいのか分からないんだよ。」
「うーん。そうだねぇ…」
塾に行くお金もないし、お母さんも和樹も頭良いけどお母さんは仕事、和樹は塾で忙しいし他に頭がいい友達もいないし。
芹沢が教えてくれないかなぁ。なんて少し思いつつも口には出せなかった。 
女子を誘うのには中学生男子には勇気がいるもんだ。
「勉強教えてくれるような人いないの?」
芹沢がいう。
「いない…」
「えーじゃあどうするの。」
そんなことを言われても。でも頭いい知り合いって芹沢ぐらいしかいないんだよなー
勇気を出して勉強教えてくれないかって言ってみるか。
勇気を出せ。翔太。学年一のモテ男がうじうじしてるなんてらしくないぞ。
「あ、ああ、あのさ芹沢」
「ん?」
やばい。今の明らかに違和感だったぞ。
いけ!翔太!
「芹沢が勉強教えてくれないかな?」 
声が震えてしまっていた。手も手汗でいっぱいだった。顔も少し赤かったかもしれない。
女子に勉強教えてって頼むぐらいでどんだけ大袈裟なんだよ。って思われるかも知れないけど俺にとっては人生で1番勇気を振り絞ったときかもしれない。
「う、うん。いいよ。」
俺が恥ずかしながら頼むからか、芹沢も動揺しながら照れくさそうに俯きながら答えた。
「ありがとう!勉強場所は〇〇図書館でいい?芹沢の家からも近いでしょ。」
芹沢がこっちを向く。
「分かった、〇〇図書館ね。夏休み中毎日みっちり教えるからね。」
「えっ、毎日?!」
「当たり前でしょーが。ていうか教えてあげるんだから感謝してよ」
芹沢が冗談めた感じでいう。
「はいはい感謝します。じゃあ毎日…よろしく」
「よ、よろしく」