「病院に、行きましょう、雛里。初羅くんのお母さんが呼んでるわ」
未だに呆然としている私の手を掴み、病院へと引っ張る。
『どこのっ……、病院なの?』
「旭病院」
告げられた病院も商店街と同様に、ここから近かった。
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コンコン、とお母さんが初羅の病室だと案内された部屋の扉を叩く。
あって欲しくない。嘘だと言って欲しいのに、
「どっ、ぞ……」
どうぞ、と泣きかけながら促された声は初羅の母親のものだった。
ゆっくりと扉に手をかける。
見えたものはたくさんの機会に囲まれて、点滴を刺され、病院服を着ている初羅だった。
「雛里ちゃん、あのね、」
少しして、完全とは言えないが落ち着いた初羅のお母さんが状況を説明してくれる。
「あのね、雛里ちゃん。黙っててごめんね。
初羅、実はずっと病気だったの。」
『……え?』
「治るかもしれないって言われて治療してきたんだけどら1ヶ月前から、もう持たないって医者に余命1ヶ月宣告されたのよ。
それで雛里ちゃんと別れるって言って……。病気だと言わなくていいのかって言ったら《重荷を背負わせたくない》んですって。
馬鹿よね、会いたいはずなのに。
それでね、今日の3:30。
初羅は息を引き取ったの。黙ってて、ごめんなさい。雛里ちゃん。」