公園に着いた。

午前の頃と変わらず子供1人も居ない。

今日の待ち合わせと同じベンチの所に座って、初羅は私を呼んだ。

「ひぃ、隣きて。」

『わ、分かった。』


ドキン、ドキン、と心臓がなる。先程の幸せのようなものではなく、今になって知りたくないというような悪寒が走るような心拍。

「俺、遠いところに行くんだ。もう、会うことは出来ないくらいに遠いところ。」

『会うことが出来ないくらいに、遠いところ?』

「そう。だからひぃとも別れた。だけど自分で別れを告げたくせにどうしようもなくさいごに会いたくなって、会えるようにお願いした。

近くしか連れていくことは出来なかったけど。


ねぇ、ひぃ。これだけは、言わせて。


ひぃ、俺は、今でもずっと。これからもずっと、ひぃのことが、」

初羅が笑って何かを言いかけた瞬間に、カチリ、何か秒針が刻むような音が鳴ったのが聞こえた。

パァァァンッッ、と何かが鳴るような音がして反射的に目を閉じる。