いいんだよ、別に。

『大丈夫だよ。』

意味が分かったはずなのに、私の伝えたいことは伝わったはずなのな、初羅は今度は悲しそうに微笑んだ。

「ひぃ、今日1日俺に付き合ってくれない?」

『いいよ。』

雛里(ひなり)という私の名前をひぃと呼ぶ初羅の声が好きだった。いや、今も好きなんだろう。

初羅が手を出して私の手を自然と握る。あの頃に戻ったみたいで泣きそうになった。

手を引っ張られながら歩いた先は私たちの街にある商店街だった。