ー芽依sideー

長い、長い夢を見ていた気がする。

目を開けると、最初に見えたのは真っ白な天井。

一瞬、ここは天国かと錯覚してしまった。


でも、すぐにここが病院だと分かった。

なぜなら、私が入院服を着ていたからなのだ。

ベッドから降り、窓のそばに行く。


空は、デタラメに広く、絵の具で子供が塗ったように青かった。


鳥が‪さえずるのが聞こえて、思わず窓を開けた。

秋晴れの今日は、程よく涼しくていい気持ち。


ーガタン

後ろから、物音が聞こえて振り返った。

そこには、驚いた顔をした珀がいたかと思えば、駆け寄ってきた。

「珀!おはよ」

ニコッと笑いかけたというのに、珀には聞こえていなかったようだ。

すると、腕をグイッと引っ張られてバランスを崩す。

気づけば、珀の腕の中にいて、見上げるとキスをされた。


貪るようなキスは、私の息をあげた。


ようやく、珀の唇が離れると強く強く抱きしめられた。

「どんだけ、心配させるんだよ。いつまでも、寝てるんじゃねぇよ。バカ芽依」

「うん?ごめんね?」

バカとか、聞こえたのは気の所為だったろうか。

「2週間も寝て...本当に馬鹿だ」

「2週間??」

私は、2週間も寝てたのか。



それから、色々な経緯を聞いた頃には、すっかりと珀も落ち着きを取り戻していた。

「なぁ、芽依。あの時、言ってたのもう1回言って」

「あの時?言ってたの?」

なんのことだろうか。

思い出せない。

「お前が、倒れた時。俺に言っただろう?」

倒れた時...言った...。

ボンッと音を立てるかの如く、私の顔は真っ赤になっただろう。

「あれは、忘れてもらっていいです...」

「だーめ...聞きたい」

いつも、俺様なくせに甘えたような声を出して来た珀。

私は、どうやらこの声には弱いらしい。


「その...ね。珀の事が、好きだよ」

覚悟を決めた、私は思い切って彼に言った。


「あぁ、俺も芽依のことが好きだ。愛してる」

にっこりと微笑むと、今度は優しいキスをした。


その後、目が覚めたというのにナースコールを押していなかった私達は、散々、看護師さんに怒られ、もう二度と忘れないと誓った。


思えば、珀との出会いは珀が術を使ってるのを見たことから始まったんだな。


それから、脅され、無理矢理生徒会入り...。


結構大変だったな。


夏休みは、瑠衣とも遊んだし、大好きな海都のいる実家への帰省。

そして、柚ちゃんの事件。


まだ、ここに来てから半年も経っていないというのにこんなに濃厚な日々を過ごした。


1番は、珀に恋した事。


あんな、俺様な奴に恋をするだなんて思っていなかった。


優しい面にも触れて、彼に恋に落ちた。


生徒会の人達との寮生活も楽しかった。



「芽依。これから、何があっても俺達はずっと一緒だ」

プロポーズじみた、クサイセリフも普通言って似合ってしまう彼の言葉に、私は満面の笑みで答えた。


「うん!私は、ずっと珀のそばにいるよ。何があってもね」


こんなこと言ってしまう、私も珀と同じようなものか。


✡END✡

読者の皆様。

この度、ようやく作品を完結することが出来ました!

すごく、嬉しいです。

作品を更新する度に、読者様が増えてくださったり、ファン様が増えてくださったりしてとても嬉しかったです。


私自身、忙しかったり、なかなか作品のアイディアが浮かばず更新することが出来ない時期もありました。


そんな時、支えになっていたのはこれを読んでくださった方々です。


これ自体、ほぼ処女作で最初の方は文章が拙かったりして、読みづらかったかと思います。

また、他の作家さんの作品に影響されてる所が多くてオリジナリティに欠けてるなと思うこともありました。

そんな私の作品を、ここまで、読んで下さりありがとうございます。

近日中に、新作も後悔する予定です。

本当に、ここまで読んで下さりありがとうございました。

ノン吉

2019.9.2

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