滉牙さんが口を開く度、男は発狂する。

滉牙さんは顔色ひとつ変えない。



滉牙さん。

滉牙さん。



本当に死ぬつもりだった。

ごめんなさい。

私も父や母、この男から被害者ぶれないな。

男を利用して死のうとしたもん。

アイツらと一緒だ。

ごめんなさい。



でも、



彼の顔を見て、声を聞いて、

安心している自分がいる。



なんて残酷なのだろう。

なんてズルい自分。



薬が効いてきた身体が意識を朦朧とさせる。

けれど、しっかり滉牙さんが目に映る。