「ゆいな? 気がついた?」
顔を上げるのもしんどい。
どうでも良かった。
男がそっと頬に触れ、ゆっくり顔を上げられる。
「気がついたんだね......良かった......」
ホッと胸を撫で下ろす男の目は
泣いていた様で赤くなっている。
「.......ごめんね、ゆいな。
痛かったよね。今、冷やすから」
そう言って男は持っていた袋から
保冷剤を取り出し、頬につけられる。
「これで腫れも引くからね。」
ぎこちない笑顔。
あまりの冷たさに、頬の感覚が薄れていく。
次に袋から真っ白なガーゼと消毒液を取り、
消毒液をガーゼに塗布し、口元へ抑えられる。