「あたし入んねえから、じゃ。」 そう言って女はその場を離れて行く。 呆気ない別れ。 振り向きすらしない。 女の隣りにパトカーが止まり、 そのまま女は乗せられて見えなくなった。 何も感じなかったのは、 何も思わなかったのは、 私も私自身も、 最初から何も期待していなかったからだろうか。 家に近づき、見上げる。 インターホンがあるが、届きそうにない。 どうしようか迷っていると、 ガラッ 玄関が開いた。