「前に君は俺らに救われたって言ったよね。

救われたのは君じゃない、俺の方。」



彼はそう言うと一呼吸置いて更に続ける。



「君に会う前の俺はクズ以下の人間だったよ。

人に言える様な自慢出来る事、尊敬する事なんか
1つもやってこなかった。」



スルッと身体が離れ、俯く滉牙さん。



「君に知って欲しくない過去しかない。
俺は君と違って過去に振り向く勇気もない。

.......ただ逃げてるだけ。

私生活も仕事も、君がここに来てから
やっと充実した。

人間らしいことしてるかもって
やっと自分で思えた。」