「の…法香さん?」

樹は立ち尽くす。

「どういうことですか?」

樹は小さい声で戸惑いつつ問いかけた。

「お母さんね、もう年だし
 最近はお弁当作り頑張っちゃってね。
 疲れが出たのかもしれないわ。」

そう言いながら法香おばあちゃんの娘さんは顔の白い布を取った。

青白い、もう生きていない法香おばあちゃんの顔がそこにあった。

「いつだったか…泣いて帰ってきた時があってね。
 その一週間元気なくてね。
 でも、一週間も過ぎれば元気になったんだけど…。
 眠りながら亡くなってしまってね。」