「あの、佐伯 樹くんですか?」

一人の女性が息のきれている男子高校生 樹に声をかけた。

「はい、そうですけど…?」

どこかで知っている雰囲気だった。

40歳くらいの中年女性

今日は夜から雨が降るという天気予報をしていたからか傘を手にしていた。

「あ、私ね…後藤 法香の娘です。
 母がいつもお世話になっちゃったみたいで…有り難う」

優しく微笑む感じが法香おばあちゃんと似ていた。

目を真っ赤にして急に泣き出してしまった。