「それが佐伯 樹くん、あなたです」

その少年はもちろんのごとく樹だ。

樹はそんなことあったっけ?と覚えていない。

「あ~そんなことが…あったんですね」

沈黙が続く。

樹はこの場にいることが耐えられなくなった。

「あ、コレ(生徒手帳)も返ってきましたし、
 僕は帰りますよ」

樹はベンチから立ち上がる。