ー俺は夢を見たー
ここは、いつもの海?
よく見ると少し遠くに茶髪の女の人と5歳位の子供が手を繋いで歩いていた。
2人は俺の方へ歩いて来た。
女の人「こうへいくんだよね?」
俺は、はいっと返事をした。
女の人は、微笑んだ。
女の人「そう。ありがとうね。」
「え?」
女の人「ふふふ」
笑った顔を見て気がついた。
「もしかして、あいのお母さんですか?」
女の人「ぇえ。そうよ。よく分かったわね」
「はい!笑顔があいとよく似ていたので!」
あいのお母さん「ふふふ。昔からよく言われたわ。」
女の子「おにぃちゃん?」
俺はしゃがんで女の子と目線を合わせた。
「ちえみちゃんかな?」
ちえみ「うん!おにぃちゃん、よく分かったね!!」
「あいが、よくちえみちゃんの話ししてたからね!」
ちえみ「本当に?嬉しい!!」
ちえみちゃんは、顔をクシャッとし無邪気に笑っていた。
あいお母さん「こうへいくん?」
「はい!」
俺は立ち上がった。
あいお母さん「あいの事、ありがとうね。」
「いえ…俺は何も…」
あいお母さん「そんな事ないわよ。あなたと出逢えて、あの子は毎日幸せそうだった。心から笑えるようになったのよ?」
「でも…」
あいお母さん「あの子はこうへいくんが居てくれたおかげで本音でぶつかえる友達ができ、人を愛する事も出来た。でもね、今こうへいくんは、残念ながら危篤に陥ってる。」
「っつつ?!」
あいお母さん「こうへいくん、お願い。もう一度だけあの子に会ってあげて欲しい。」
「でも…どうすれば…」
俺は焦っていた。
こんなに早くあいに会えなくなるなんて…
あいお母さん「向こう側に光が見えるでしょ?そこへ向かって?そうすればきっとあの子達に逢えるから。もう、時間がないわ。早く行って?」
俺は、一度頭を下げはしりだした。
今までにないくらい無我夢中で走った。