「へあっ!?」
まさか自分の名前が出るなんて思ってもいなかったから、とても変な声を出してしまったと私は少し後ずさりをした。
「へえー!この子が咲良ちゃんね」
「は、はぁ、なんでしょう?」
私が『さくら』だと分かった瞬間に目つきが変わった。でもその目線はもう既にわたしとは合わず、エレベーターの方へ向いていた。
「ねえ、零と守がどこか知らなぁい?」
その質問に私は即座に固まる。
この目の前の人は零と守を知っている。
大抵の人は零、守と1人を呼び出すから、一気に両方を呼ぶ人は初めてだったからかもしれない。
「長くなりそうなら俺外に行ってるぞ」
「待ってよ、神倉了雅さん」