説明しようとする聖の言葉を遮って、またも大声が飛ぶ。


あれ、なんだろう。


また……煩くなってきた……?



しかもそれを先導しているのは怒鳴り込んできた男の子・楓斗に違いない。


一人増えたことで、より場が混乱。


現状がマシになったとはきっと言えない。



怒って声を荒げる楓斗。


困ったようにため息をつく聖。


夢の中に旅立った空は既に聞いてない。



「まったく、難儀やなぁ。キレると見境いない楓斗が一番厄介やってことに当の本人が気付いてへんからな。どないしよ」


「んー、僕らじゃ止めらんないもんねぇー」



残った2人は、争いの輪から逃れて当然のように見物している。



さっきまでケンカしてた2人が仲良くしてて。


仲裁に入ったはずの人が騒ぎを大きくしてて。



これ、なに。


どうなってるの。



この寮は、一体……——。