「こんだけ騒がれて落ち着いて鑑賞できるっつー方が無理あるだろーが」


「ああ、確かにそうだね。
多少なりとも面倒を覚悟しないと収拾がつかないと思って、あえて仲裁に入らなかったんだ。煩わしいのはごめんだったから、つい。そこまで気が回らなかったよ。
やっぱり止めるのが正解だったね」


「当たり前だ!!一度収めりゃ、それで終わりだろーが。こいつらがケンカおっ始めて、なんで黙って観戦してやらなきゃなんねんだよ。放って長引かせる方が後々面倒だろ。
ったく、無駄に頭いいくせして、そういうのには相変わらず無関心なのな、お前。

……って、空。いい加減離れろウザったい!」



チッと舌打ちを一つこぼして、空と呼ばれた寝ぼけ眼の男の子を引き剥がしにかかっている人は、聖との会話のやり取りからして多分、楓斗っていう名前。



「だ、か、らっ、後ろに立つなっての!!」